化粧品販売に必要な許可
化粧品を作って売るには何の許可が必要ですか?
日本で化粧品を作って売るには、薬機法上の許可が2種類あります。自社ブランドとして市場に出す者が受ける**「化粧品製造販売業許可」と、製造を行う工場(製造所)ごとに受ける「化粧品製造業許可」です。さらに、品目ごとに発売前の届出**(厚生労働大臣が指定する成分を含む場合は承認)が必要です。製造をすべて他社に委託する場合は、受託先が製造業許可を持っていれば、自社に要るのは製造販売業許可だけです。
Approach: 薬機法本体と同法施行令、施行規則、GQP省令、GVP省令の条文を確認しました。都道府県ごとの申請窓口、手数料、運用通知は確認していません。
1. 化粧品製造販売業許可(自社の名前で市場に出す者)
- 「化粧品製造販売業許可」を受けた者でなければ、業として化粧品の製造販売を「してはならない」と定められています(法第12条第1項)[1]。
- 「製造販売」には、自社で製造したものだけでなく、製造を他に委託したものや輸入したものを販売・授与することも含まれます(法第2条第13項)[2]。
- 許可の基準は、品質管理の方法(GQP)と製造販売後安全管理の方法(GVP)が省令の基準に合っていることです(法第12条の2)[3]。
- 総括製造販売責任者を置かなければなりません(法第17条)[8]。化粧品の場合の資格は次のいずれかです(施行規則第85条の2第2項)[9]。
- 薬剤師
- 旧制中学・高校以上で、薬学または化学の専門課程を修了した者
- 旧制中学・高校以上で薬学または化学の科目を修得した後、品質管理または製造販売後安全管理の業務に3年以上従事した者
- 厚生労働大臣が同等以上と認めた者
- 申請先は、総括製造販売責任者が業務を行う事務所がある都道府県の知事です(施行規則第19条、施行令第80条第2項第1号)。申請書は様式第九で、法人なら登記事項証明書などを添付します [10][11]。
- 有効期間は5年で、更新が必要です(施行令第3条)[12]。
2. 化粧品製造業許可(実際に製造する場所ごと)
- 製造業の許可を受けた者でなければ、業として化粧品の製造を「してはならない」と定められています。許可は製造所ごとに与えられます(法第13条)。構造設備が基準に合わないときは許可されないことがあり、実地調査などが行われます [13]。
- 許可の区分は次の2つです(施行規則第25条第3項)[14]。
- 製造工程の全部または一部を行うもの
- 包装・表示・保管のみを行うもの
- 製造所ごとに責任技術者を置かなければなりません(法第17条第10項)。化粧品の場合の資格は次のいずれかです(施行規則第91条第2項)[15]。
- 薬剤師
- 旧制中学・高校以上で、薬学または化学の専門課程を修了した者
- 旧制中学・高校以上で薬学または化学の科目を修得した後、製造業務に3年以上従事した者
- 厚生労働大臣が同等以上と認めた者
- 許可は製造所の所在地の都道府県知事が行い(施行令第80条第2項第3号)[11]、有効期間は5年です(施行令第10条)[16]。
3. 品目ごとの手続(許可を取った後、発売前に)
- 通常の化粧品は届出です。 製造販売業者は「あらかじめ、品目ごとに」届け出なければならず、変更したときは30日以内に変更届が必要です(法第14条の9)[17]。届書は様式第三十九です(施行規則第70条)[18]。届出の受理は都道府県知事が行います(施行令第80条第2項第8号)[11]。
- 例外として承認が必要です。 「厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品」は、品目ごとに厚生労働大臣の承認を「受けなければならない」とされています(法第14条第1項)[19]。
- 表示義務があります。 直接の容器または被包に、製造販売業者の氏名・住所、名称、製造番号、指定成分の名称などを記載しなければなりません(法第61条)[20]。
4. 補足
- 化粧品の範囲:法第2条第3項の化粧品は「人体に対する作用が緩和なもの」で、医薬部外品は除かれます [2]。「薬用」などの医薬部外品として出す場合は、別に「医薬部外品製造販売業許可」が必要です(法第12条の表)[1]。
- 店頭・通販での小売:薬機法で販売業の許可を定める第七章は「医薬品、医療機器及び再生医療等製品の販売業等」を対象としています(例えば医薬品は第24条)[21]。化粧品の販売業許可にあたる条文は、確認した範囲では見つかりませんでした。
- 事業開始後の届出:休廃止や総括製造販売責任者の変更などは、30日以内に届け出る必要があります(法第19条)[22]。
配合予定の成分を教えていただければ、化粧品基準(平成12年厚生省告示第331号)の配合禁止・制限成分表と照合できます。
製造販売業と製造業の違いは何ですか?
製造販売業は、製品を自社の責任で市場に出す者です。製品の品質と市販後の安全に責任を持ちます。製造業は、製造所(工場)で実際に製品をつくる者です。製造販売業の許可は事業者に対して出され、製造業の許可は製造所ごとに出ます。
Approach: 薬機法の該当条文(第2条、第12条、第12条の2、第13条、第13条の2の2、第17条、第18条、第21条、第72条)と、GQP省令の化粧品の章を確認しました。
違いの比較
| 項目 | 製造販売業(化粧品製造販売業許可) | 製造業(化粧品製造業許可) |
|---|---|---|
| 何をする者か | 自社で製造したもの、他社に製造を委託したもの、輸入したものを販売・授与する者です。他社から製造を請け負うだけの場合は「製造販売」に含まれません(法第2条第13項)[2] | 業として化粧品の「製造」を行う者です(法第13条第1項)[13] |
| 許可の単位 | 製造販売業者ごと(法第12条)[1] | 製造所ごと。区分に従って許可されます(法第13条第2項)[13] |
| 許可の基準 | 品質管理の方法(GQP)と製造販売後安全管理の方法(GVP)が省令の基準に合っていること(法第12条の2)[3] | 製造所の構造設備が省令の基準に合っていること。書面調査または実地調査があります(法第13条第5項・第7項)[13] |
| 置く責任者 | 医薬品等総括製造販売責任者。品質管理と製造販売後安全管理を行わせるために置きます(法第17条第1項・第2項)[8] | 医薬部外品等責任技術者。製造を実地に管理させるために、製造所ごとに置きます(法第17条第10項・第11項)[8] |
| 遵守事項 | 製造管理・品質管理と製造販売後安全管理の実施方法など(法第18条第1項)。製造販売後安全管理の業務の一部は、省令の範囲で外部に委託「することができる」とされています(同条第5項)[23] | 製造所での試験検査の実施方法など(法第18条第3項)[23] |
| 申請の経由先 | 申請者の住所地(法人なら主たる事務所の所在地)の都道府県知事(法第21条第1項)[24] | 製造所の所在地の都道府県知事(法第21条第2項)[24] |
| 改善命令の対象 | 品質管理や製造販売後安全管理の方法が基準に合わない場合(法第72条第1項)[25] | 構造設備が基準に合わない場合。施設の使用禁止もあり得ます(法第72条第3項)[25] |
どちらの許可も、3年を下らない政令で定める期間ごとに更新を受けなければ効力を失います(法第12条第4項、第13条第4項)[1][13]。
両者の関係:製造販売業者が製造業者を管理する
- 製造販売業者は品質保証責任者を置かなければなりません。販売部門に属する者は充てられません(GQP省令第17条)[4]。
- 製造販売業者は、品質管理業務手順書に基づいて次のことを行わなければなりません(GQP省令第18条第2項)[5]。
- 製品が製造業者等で適正かつ円滑に製造されたことを確認し、記録すること
- 市場への出荷の記録を作成すること
- 品質不良やそのおそれがあれば、回収などを速やかに行うこと
- GQP省令では、この管理監督の対象となる製造業者等への管理監督が「品質管理業務」に含まれると定義されています(GQP省令第2条第1項)。「市場への出荷」とは、製造販売業者が製造販売のために出荷することを指します(同条第2項)[26]。
実務上の組み合わせ
- 自社で製造して自社ブランドで売る場合:製造販売業と製造業の両方の許可が必要です。
- 製造をすべてOEM先に委託する場合:自社に要るのは製造販売業の許可です。製造業の許可は受託先が製造所ごとに持ちます。
- OEM受託だけを行う工場の場合:製造業の許可だけです。他社から製造を受託することは「製造販売」に含まれないためです(法第2条第13項)。
- 保管だけを行う製造所の場合:厚生労働大臣の登録を受ければ、その製造所について製造業の許可は要りません(法第13条の2の2)[27]。
総括製造販売責任者になれる資格は?
化粧品の総括製造販売責任者になれるのは、次の4つのいずれかに当たる人です(施行規則第85条の2第2項)[9]。
- 薬剤師
- 旧制中学もしくは高校、またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する専門の課程を修了した人
- 旧制中学もしくは高校、またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品または化粧品の品質管理または製造販売後安全管理の業務に3年以上従事した人
- 厚生労働大臣が1から3と同等以上の知識経験を持つと認めた人
Approach: 薬機法第17条と、同法施行規則の第19条、第85条から第87条、第92条、第99条を確認しました。厚生労働大臣の「同等以上」の認定の運用や、都道府県が求める証明書類の具体例は確認していません。
要件のポイント
- 2と3の違い:2は「専門の課程」を修了していれば実務経験は要りません。3は「科目」を修得しただけの場合で、品質管理または製造販売後安全管理の実務が3年以上必要です。
- 資格の根拠:法第17条第1項は、化粧品の製造販売業者は「厚生労働省令で定める基準に該当する者」を置かなければならないとしています。医薬品の場合と違い、薬剤師に限られていません [8]。
- 資格に加えて求められる能力:総括製造販売責任者は、法が定める義務と業務を果たすのに「必要な能力及び経験を有する者でなければならない」とされています(法第17条第2項)[8]。
他の製品区分との比較(施行規則第85条の2)[9]
| 区分 | 化粧品(第2項) | 医薬部外品(第1項) |
|---|---|---|
| 学歴だけで足りる場合 | 旧制中学・高校以上で専門課程を修了 | 大学等で専門課程を修了 |
| 実務経験が必要な場合 | 旧制中学・高校以上で科目を修得し、医薬品・医薬部外品・化粧品の品質管理または製造販売後安全管理を3年以上 | 旧制中学・高校以上で専門課程を修了し、医薬品・医薬部外品の品質管理または製造販売後安全管理を3年以上 |
化粧品の資格では医薬部外品の製造販売業の要件を満たさない場合があります。「薬用」製品も扱う予定なら、医薬部外品の基準で人選してください。
就任後の業務と遵守事項(施行規則第87条)[28]
- GQP省令とGVP省令で総括製造販売責任者が行うとされた業務を行います。
- 品質管理と製造販売後安全管理の法令と実務に精通し、業務を公正かつ適正に行います。
- 必要なときは製造販売業者に書面で意見を述べなければなりません(法第17条第3項)。その写しは5年間保存します。
- 品質保証責任者、安全管理責任者と密接に連携します。
製造販売業者の側には、この3者が連携して業務を行えるよう配慮する義務があります(施行規則第92条)[29]。
手続で必要な書類
- 許可申請のとき:申請書に総括製造販売責任者の住所と資格を記載します。添付書類は、資格を証する書類と、申請者本人以外が就任する場合の雇用契約書の写しなど(使用関係を証する書類)です(施行規則第19条第2項・第3項)[10]。
- 交代したとき:氏名・住所の変更届を出し、同じ種類の書類を添えます(施行規則第99条)[30]。
製造所に置く責任技術者の資格(施行規則第91条第2項)も、化粧品ではほぼ同じ4つです。違いは3の実務経験で、品質管理・安全管理ではなく「製造に関する業務」の3年以上です [15]。
化粧品を仕入れて売るだけでも許可はいりますか?
国内の正規品を仕入れてそのまま売るだけなら、薬機法の許可は要りません。 ただし、海外から輸入して売る場合は「製造販売」に当たるため、化粧品製造販売業許可が必要です。また、容器に日本語表示を貼るなどの作業をすれば、製造業許可(包装・表示・保管の区分)も要ります。
Approach: 薬機法(第2条、第12条、第13条、第14条の9、第24条、第55条から第57条、第61条、第62条、第66条、第70条)と同法施行規則(第25条、第94条)を確認しました。景品表示法や特定商取引法など、薬機法以外の法律は確認していません。
1. 国内で仕入れて売る場合:許可は不要
- 薬機法で販売業の許可を定める第七章は「医薬品、医療機器及び再生医療等製品の販売業等」が対象です。例えば第24条は、許可を受けた者でなければ業として医薬品を販売し、または販売目的で貯蔵・陳列「してはならない」と定めています [21]。確認した範囲では、化粧品に同じ定めを置く条文はありませんでした。
- 「製造販売」は、自社で製造(委託製造を含む)または輸入したものを販売・授与することです(法第2条第13項)[2]。国内の製造販売業者が出荷した製品を仕入れて転売するのは、自社の製造でも輸入でもないため、この定義に入りません。製造販売業許可(法第12条)の対象外です [1]。
- 自社で詰め替え・小分け・ラベル貼りをする場合は別です。 化粧品の製造業許可には「包装、表示又は保管のみを行うもの」という区分があります(施行規則第25条第3項)[14]。業として製造をするには許可が要ります(法第13条第1項)[13]。
2. 海外から輸入して売る場合:許可が必要
- 輸入品の販売は「製造販売」に当たります(法第2条第13項)。そのため化粧品製造販売業許可がなければ、業として「してはならない」とされています(法第12条第1項)[2][1]。
- 品目ごとに、発売前に製造販売届出を出さなければなりません(法第14条の9)[17]。
- 製造販売業者は、通関のときまでに、その品目の届出(または承認やその申請)をしたことを証する書類か写しを持っていなければなりません(施行規則第94条)[31]。
- 日本向けの表示を国内で付ける場合や、国内で保管する場合は、「包装、表示又は保管のみ」の区分の製造業許可が必要になります(施行規則第25条第3項)[14]。この工程は、許可を持つ他社に委託することもできます。
3. 許可が不要な販売者にも適用されるルール
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基準に合わない品は売れません。 法第62条は、医薬品についての第55条から第57条を化粧品に準用しています [32]。そのため、次の化粧品は、販売し、または販売目的で貯蔵・陳列「してはならない」とされます [33]。
- 第61条の表示に違反するもの。製造販売業者の氏名・住所、名称、製造番号などの記載が必要です [20]
- 第13条第1項に違反して製造されたもの
- 第14条第1項に違反して製造販売されたもの
したがって、表示が日本の要件を満たしていない並行輸入品などを仕入れて売れば、販売者自身がこの禁止に触れます。
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誇大広告は禁止です。 「何人も」、化粧品の名称、製造方法、効能、効果について、虚偽または誇大な記事を広告・記述・流布「してはならない」とされています(法第66条第1項)[34]。販売店やネットショップの商品説明にも適用されます。
-
行政の命令の対象になります。 化粧品を「業務上取り扱う者」は、違反品の廃棄や回収などを命じられることがあります(法第70条第1項)[35]。
| 売り方 | 薬機法の許可 |
|---|---|
| 国内の正規品を仕入れて、そのまま販売(店頭・通販) | 不要(第55条、第66条などは守る必要あり) |
| 仕入れた品を詰め替え・小分け・ラベル貼りして販売 | 化粧品製造業許可(包装・表示・保管の区分) |
| 海外から輸入して販売 | 化粧品製造販売業許可と品目ごとの届出。国内で表示・保管するなら製造業許可も |
仕入れ予定の商品が輸入品であれば、表示の記載事項が第61条の要件を満たしているかを個別に確認できます。