Q.01

日本で医薬品が承認されるまでの流れは?

日本では、医薬品は品目ごとに厚生労働大臣の製造販売承認を受けなければなりません(薬機法第14条第1項)。大まかな流れは、業の許可を取る、治験を届け出て実施する、PMDA経由で申請する、PMDAの審査と信頼性・GMP調査を受ける、必要に応じて薬事審議会の意見を聴いたうえで大臣が承認する、承認後は再審査・変更管理・安全性報告に移る、という順です。[1]

Approach: 薬機法とその施行令・施行規則の現行条文を確認し、運用面はPMDA公式サイトで補いました。審査期間の目標値は、開いたPMDAのページに具体的な数字が載っていなかったため記載していません。

1. 前提となる業許可

  • 製造販売業許可(第12条): 第一種または第二種の医薬品製造販売業許可が必要です。申請時には品質管理体制と製造販売後安全管理体制の書類を出し、許可は「三年を下らない政令で定める期間」ごとに更新します。[2]
  • 製造業許可(第13条): 製造所ごとに必要で、構造設備の基準について書面または実地の調査が行われます。[3]
  • 申請者がその品目に合った許可を持っていない場合、または製造所が許可・認定・登録を受けていない場合、承認は「与えない」とされています(第14条第2項第1号・第2号)。[1]

2. 非臨床試験と治験

  • 申請資料はGLP省令・GCP省令・GPSP省令に従って集め、作成する必要があります(施行規則第43条)。[4]
  • 治験計画届(第80条の2第2項): 治験を依頼または自ら実施する者は、あらかじめ大臣に届け出なければなりません。その薬物で初めて届け出る場合は、届出日から30日を経過した後でなければ治験を開始できません(同条第3項)。治験はGCP基準に従って実施・管理し、副作用等は報告します(同条第4項から第6項)。[5]
  • 政令で定める薬物では、届出先がPMDAになり、PMDAが調査を行います(第80条の3)。[6]
  • 届出事項(成分・分量、予定する効能・用法用量、実施医療機関、治験責任医師など)は施行規則第269条に定められています。海外の依頼者の場合は治験国内管理人が手続きを行います(第271条)。[7][8]
  • 開発中はPMDAの相談で、申請に向けた助言を受けられます(PMDA Outline)。

3. 承認申請

  • 申請(一部変更承認の申請を含む)は、政令で定めるものを除き、PMDAを経由して行います(第14条第15項)。[1]
  • 添付資料(施行規則第40条)は次のとおりです。[9]
    • 起原・外国使用状況
    • 製造方法・規格試験方法
    • 安定性
    • 薬理
    • ADME
    • 毒性
    • 臨床試験成績
    • 臨床試験以外の成績(診療情報の分析を含む)
    • 添付文書等の注意事項等情報
  • 医学薬学上公知の場合など、合理的な理由があれば一部の資料は省略できます(同条第2項)。
  • 原薬等登録原簿(MF)に登録された原薬を使う場合は、登録を証明する書面を資料の一部の代わりにできます(第14条第4項)。[1]

4. PMDAによる審査と調査

  • 大臣はPMDAに審査と調査を行わせることができ、その場合、大臣はPMDAが通知する結果を「考慮しなければならない」とされています(第14条の2の3)。[10]
  • 品質・有効性・安全性の審査(第14条第5項): 申請資料が信頼性基準に適合しているかの書面調査または実地調査が、審査に先立って行われます。[1]
  • GMP適合性調査(第14条第6項): 承認を受けようとするとき、及び承認取得後「三年を下らない政令で定める期間」ごとに受けます。製造工程区分について基準確認証を受けている製造所は、その調査を受ける必要がありません(同条第7項)。[1]
  • PMDAは複数の分野の専門家によるチームで審査し、外部専門家との協議(専門協議)も行います(PMDA Reviews)。

5. 薬事審議会と承認

  • 既承認薬と有効成分や効能などが明らかに異なる品目は、承認前に薬事審議会の意見を「聴かなければならない」とされています(第14条第12項)。[1]
  • 承認されないのは、効能が認められない場合、効能に比べて著しく有害で使用価値がない場合、その他不適当な場合、またはGMPに適合しない場合です(第14条第2項第3号・第4号)。[1]

6. 迅速化・特例の制度

制度要点
優先審査(第14条第9項・第11項)希少疾病用医薬品、先駆的医薬品、特定用途医薬品など、医療上特に必要性が高い品目は優先して審査できる [1]
指定制度(第77条の2)希少疾病用・先駆的・特定用途の各指定は、申請に基づき薬事審議会の意見を聴いて行う [11]。PMDAは希少疾病用医薬品を「less than 50,000 patients」の対象と説明している(PMDA Reviews)
条件付承認(第14条の2の2)有効性が「合理的に予測できる」医療上の必要性の高い品目について、承認後の調査実施などを条件に承認する [12]
緊急承認(第14条の2の2の2)健康被害の拡大防止のため緊急に必要な品目に、条件と「二年を超えない範囲内の期限」を付けて承認する。期限は一年以内で延長でき、期限内に改めて承認申請が必要 [13]
特例承認(第14条の3)緊急時に、日本と同等水準の承認制度を持つ外国で販売が認められている品目を承認する [14]
外国特例承認(第19条の2)外国の製造者が自ら承認を受け、国内の製造販売業者を選任して製造販売させる [15]

7. 承認後

  • 変更: 一部変更承認が必要で、軽微な変更は届出で足ります(第14条第13項・第14項)。[1] 事前に確認を受けた変更計画に従う変更は、届出で済ませられます(第14条の7の2)。[16]
  • 再審査(第14条の4): 新医薬品の調査期間は次のとおりで、満了から3か月以内に再審査を申請します。[17]
    • 原則:承認後6年
    • 希少疾病用・先駆的医薬品など:6年を超え10年を超えない範囲で指定
    • 効能のみが異なる医薬品など:6年に満たない範囲で指定
    • 延長:承認後12年を超えない範囲まで可能
  • 再評価: 公示された範囲の医薬品は再評価を受けます(第14条の6)。[18]
  • 副作用等の報告: 製造販売業者は大臣に報告しなければなりません(第68条の10)。[19]

Sources:

Q.02