Q.01

日本の家庭用品のホルムアルデヒド基準値は?

日本では「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」の別表第1に、ホルムアルデヒドの基準が2区分あります。生後24月以内の乳幼児用の繊維製品は、吸光度差0.05以下または試料1gあたり16μg以下です。それ以外の下着・寝衣・手袋・くつした・たびと、かつら・つけまつげ等に使う接着剤は、試料1gあたり75μg以下です。

別表第1対象家庭用品基準
第21行繊維製品のうち、おしめ、おしめカバー、よだれ掛け、下着、寝衣、手袋、くつした、中衣、外衣、帽子、寝具であつて、出生後24月以内の乳幼児用のもの「別に試験法で定める吸光度差が0.05以下又は試料1gあたり16μg以下であること。」[1][2]
第22行繊維製品のうち、下着、寝衣、手袋及びくつした(出生後24月以内の乳幼児用のものを除く。)、たび並びにかつら、つけまつげ、つけひげ又はくつしたどめに使用される接着剤「試料1gあたり75μg以下であること。」[3][4]

押さえておくべき点

  • 区分の境目は「出生後24月以内」です。この月齢以内の乳幼児用なら第21行、それ以外の下着・寝衣・手袋・くつしたは第22行になります。
  • 乳幼児用の範囲は広く、中衣・外衣・帽子・寝具・おしめ・よだれ掛けまで入ります。一方、24月を超える対象品(第22行)は、肌に直接触れる下着・寝衣・手袋・くつした・たびと、上の接着剤だけです。成人用の外衣や中衣はこの2行には挙がっていません。
  • 第21行の「吸光度差」は、別に定める試験法で測る値です。試験法の詳細はこの表には書かれていません。

Approach: 厚生労働省所管の家庭用品規制法施行規則の別表第1(e-Gov法令データ)を2つのデータセットで照合し、両者の記載が一致することを確認しました。

Q.02

乳幼児用の繊維製品はどう測定する?

乳幼児用の繊維製品は、厚生労働省の通知「家庭用品中の有害物質試験法」の「ホルムアルデヒド(1)」で測定します。試料を水で抽出し、アセチルアセトン法で発色させて412~415 nmの吸光度を測る方法です。施行規則は試験法を自分では定めていません。別表第1第21行の基準を「別に試験法で定める吸光度差が0.05以下又は試料1gあたり16μg以下」と書き、方法を別に委ねています[1]。

試験法の位置づけ

  • 公定試験法は「家庭用品中の有害物質試験法について」(令和4年3月28日付け薬生薬審発0328第5号)の別添で定められています。施行規則別表第1の基準に適合するかどうかは、この公定試験法で測定することとされています(令和7年3月21日 医薬薬審発0321第4号)。
  • 現在施行中の全文は、上記令和7年通知の別添2です(施行は令和8年4月1日)。この改正の対象は多環芳香族炭化水素3物質の試験法でした(同通知)。令和8年4月20日の改正(医薬薬審発0420第9号、令和9年4月1日施行)の対象も、錫化合物と有機水銀化合物です。どちらの通知の改正概要にも、ホルムアルデヒドは挙がっていません(令和8年通知)。

ホルムアルデヒド(1)の手順(試験法全文 p.64-66)

工程内容
試料身体と接触する繊維の部分を細かく切り、2.50 gを200 mLの共せんフラスコに正確に量り採る
抽出精製水100 mLを正確に加えて密せんし、40℃の水浴中で時々振り混ぜながら1時間抽出する。ガラスろ過器(細孔記号2)で温時ろ過し、これを試験溶液とする
発色試験溶液とホルムアルデヒド標準液(1 mL=0.4 μg HCHO)を5.0 mLずつ採り、アセチルアセトン試液5.0 mLを加える。40℃で30分間加温し、30分間放置する
測定層長1 cmで、412~415 nmの吸収極大波長における吸光度A(試験溶液)とAs(標準液)を測る
ブランク補正試験溶液5.0 mLに、アセチルアセトン試液の代わりに酢酸・酢酸アンモニウム緩衝液を加えて同様に操作し、同じ波長で吸光度Aoを測る
判定値A-Ao(吸光度差)を求める。または次式で溶出量を計算する:溶出量(μg/g)=K×((A-Ao)/As)×100×(1/試料採取量(g))

確認試験

  • A-Aoが0.05を超えたとき、または溶出量が1 gあたり16 μgを超えたときは、その吸収がホルムアルデヒドによるものであることを確認「しなければならない」とされています。確認方法は次のアかイのいずれかです(p.64-65)。
    • ア ジメドン法:ジメドン・エタノール溶液でホルムアルデヒドを封鎖してから発色させ、412~415 nmで同様の吸収スペクトルを示さないことを確認します。
    • イ HPLC法:ODSカラム(4.6 mm×150 mm、5 μm)、35℃、検出412~415 nm、移動相アセトニトリル:精製水(15:85~20:80)、流速毎分1.0 mL。ホルムアルデヒド-アセチルアセトン反応生成物と保持時間が一致するピークがあるかを確認します。

24月を超える対象品(第22行)との違い(p.67-69)

  • 試料は「約1 g」を精密に量ります。標準液は1 mL=4 μg HCHOで、乳幼児用の10倍の濃度です。
  • 判定は溶出量だけで、確認試験に進むのは75 μg/gを超えたときです。確認はジメドン法のみです。
  • 接着剤は水蒸気蒸留で試験溶液をつくり、式の係数Eは200を使います。

通則 試験法各条に代わる方法も、精度が当該試験法以上であれば使って「できる」とされています。ただし結果に疑いがある場合は、本試験法で最終の判定を行います(p.1)。

Approach: 家庭用品規制法施行規則の別表第1(e-Gov法令データ)を確認したところ、試験法の本文はなかったため、厚生労働省の試験法通知とその別添全文を公式サイトで開いて読みました。

Sources:

Q.03