Q.01

再生医療等製品とは何ですか?

再生医療等製品は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第2条第9項が定義する独立した製品区分です。下の一号または二号に当たる物で(医薬部外品と化粧品は除く)、かつ政令で定めるものを指します [1]。

Approach: 薬機法とその施行令の現行条文を確認しました。施行令の別表第二(具体的な品目の範囲)の中身は、今回確認できた資料に含まれていません。

第2条第9項の定義(条文どおり)

この法律で「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう [1]。

  1. 一号(細胞加工製品):次の医療または獣医療に使うことを目的とする物のうち、人または動物の細胞に培養その他の加工を施したもの。
    • イ:人または動物の身体の構造・機能の再建、修復または形成
    • ロ:人または動物の疾病の治療または予防
  2. 二号(遺伝子治療用製品):人または動物の疾病の治療に使うことを目的とする物のうち、人または動物の細胞に導入され、その体内で発現する遺伝子を含有させたもの。

押さえておくべき点

  • 政令による範囲の特定:施行令第1条の2は「法第二条第九項の再生医療等製品は、別表第二のとおりとする」と定めています [2]。そのため、法律の定義に当たるだけでは足りず、別表第二に掲げられていることが必要です。
  • 他の区分とは重ならない:「医薬品」の定義(第2条第1項第二号・第三号)と「医療機器」の定義(同第4項)は、どちらも再生医療等製品を明文で除いています。このため、医薬品や医療機器とは別の区分として規制されます [1]。
  • 動物用も対象:定義は「人又は動物」を対象としており、獣医療用の製品も含みます [1]。
  • 専用の規制枠組み:製造販売の定義(第2条第13項)には再生医療等製品が明記されています。希少疾病用、先駆的、特定用途の各再生医療等製品の指定区分(同第16項)もあります [1]。施行令にも、再生医療等製品の販売業 [3]、輸出用製品の特例(輸出業者は品目などを、あらかじめ機構を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない)[4]、感染症評価報告 [5] についての個別規定があります。

承認審査、条件及び期限付承認、販売業の許可、PMDAの回収情報など、特定の手続きについても条文やデータで確認できます。

Q.02

条件及び期限付承認とは何ですか?

条件及び期限付承認は、再生医療等製品にだけ設けられた早期承認の仕組みです(薬機法第23条の26)。製品が均質でなくても、有効性が「推定」され、安全性上の使用価値がないとは推定されない場合に、厚生労働大臣は薬事審議会の意見を聴いて承認を与えることができます。その際、適正な使用のために必要な条件と、7年を超えない範囲の期限を付けます。承認を受けた者は、期限内に改めて通常の承認を申請しなければなりません [6]。

Approach: 薬機法と同法施行規則の現行条文を確認しました。運用通知や、この制度で承認された品目の一覧は確認していません。

承認の要件(第23条の26第1項)

通常の承認の拒否事由のうち、第23条の25第2項第3号イ・ロ(有効性が「認められない」、使用価値がないと「認められる」)と第12項(薬事審議会の事前聴取)は適用されません。代わりに、次の3つをすべて満たすことが要件です [6]。

  1. 申請に係る再生医療等製品が均質でないこと
  2. 申請に係る効能、効果または性能を有すると推定されるものであること
  3. 申請に係る効能、効果または性能に比べて著しく有害な作用を有するために、再生医療等製品として使用価値がないと推定されるものでないこと

通常の承認では有効性が「認められる」ことが求められます。この制度では「推定」の段階で承認できる点が要です [7]。

承認後の義務と手続き

項目内容
期限の延長本承認の審査を適正に行うため特に必要なとき、大臣は3年を超えない範囲で期限を延長することができる(第2項)[6]
使用成績等の調査・報告承認取得者は、省令で定める調査を行い、その結果を大臣に報告しなければならない(第3項)[6]。調査は期限(延長後の期限を含む)まで、不具合等その他の使用の成績等について行う。報告事項は、名称、承認番号、調査症例数、出荷数量、不具合等の種類別発現状況など。報告は、大臣が指定した日から起算して1年(または大臣が指示する期間)以内ごとに、その期間の満了後2月以内に行う(施行規則第137条の35)[8]
改めての承認申請期限内に改めて第23条の25第1項の承認を申請しなければならない(第5項)。この審査では有効性・安全性が「推定」ではなく「認められる」かどうかで判断される(第4項の読替え)[6]
期限経過後の効力申請に対する処分が期限内にされないときは、処分がされるまでの間、承認はなお効力を有する(第6項)[6]
医療関係者の協力再生医療等製品を取り扱う医師などの医療関係者は、調査や資料の収集に協力するよう努めなければならない(第7項)[6]
容器等の表示直接の容器または直接の被包に、条件及び期限付承認の品目であることを示す表示が必要(法第65条の2第5号)[9]。様式は、白地に黒枠、黒字で記載する「条件・期限付」の文字(施行規則第228条の3)[10]
再審査との関係新再生医療等製品の再審査(第23条の29)の対象からは、条件及び期限を付した承認が除かれている [11]

取消しと是正命置

  • 大臣は、次のいずれかに当たると認めるときは、薬事審議会の意見を聴いて承認を取り消さなければならない(第74条の2第1項)[12]。
    • 製品が第23条の26第1項第2号(有効性の推定)または第3号(使用価値がないとは推定されない)に当たらなくなったとき
    • 第23条の25第2項第3号ハに該当するに至ったとき
    • 第4項の読替えで適用される同号イまたはロに該当するに至ったとき
  • 承認に付された条件に違反したときは、承認を取り消し、または承認事項の一部変更を命ずることができる(同条第3項第6号)[12]。また、違反を是正するために必要な措置を命ずることもできる(第72条の4第2項)[13]。

よく似た制度:緊急承認(第23条の26の2)との違い

再生医療等製品には別に緊急承認の制度があり、これも条件と期限を付けて承認するものです。ただし要件が異なり、均質でないことの代わりに、次を満たす必要があります。

  • 疾病のまん延など健康被害の拡大を防ぐために、緊急に使用されることが必要であること
  • その製品の使用以外に適当な方法がないこと
  • 政令で定める製品であること

期限は2年以内で、延長は1年以内です [14]。なお、医薬品(第14条の2の2の2)と医療機器・体外診断用医薬品(第23条の2の6の3)には同じ構造の緊急承認があります [15][16]。一方、「均質でない」ことを要件とし期限が7年以内の条件及び期限付承認は、今回確認した条文の範囲では再生医療等製品の章にだけ置かれています。

Q.03

承認された製品と回収情報はどこで確認できますか?

承認品目はPMDAの「新再生医療等製品の承認品目一覧」で、回収情報はPMDAの「回収情報(再生医療等製品)」で確認できます。手元のデータで確認できた再生医療等製品の回収は1件で、条件及び期限付承認の品目でした。

Approach: PMDAの再生医療等製品の回収情報と、新医薬品の承認品目一覧(英語版)を検索しました。英語版の新医薬品一覧からは再生医療等製品の承認品目は見つからなかったため、承認品目についてはPMDA公式サイトのページを開いて確認しました。

1. 承認品目を調べる

  • 新再生医療等製品の承認品目一覧(PMDA):新再生医療等製品として承認された品目を年度ごとに一覧にしています。掲載年度は2015年度から2026年度までです。2017年度は「承認品目なし」と書かれています。
  • 再生医療等製品の検索システム(PMDA):個々の品目の添付文書、審査報告書、申請資料概要を検索できます。上の一覧ページからリンクされています。

2. 回収情報を調べる

  • 回収情報(再生医療等製品)(PMDA):2024年度、2025年度、2026年度の回収を、年度とクラス(I〜III)ごとに掲載しています。クラスの意味は次のとおりです。
    • クラスI:重篤な健康被害または死亡の原因となりうる状況
    • クラスII:一時的な、または医学的に治療可能な健康被害の原因となる状況、あるいは重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況
    • クラスIII:健康被害の原因となるとはまず考えられない状況
  • PMDAの回収情報検索:2024年度以降の回収情報を検索できます。
  • 2023年度以前の回収:同じページから厚生労働省のサイトに案内されています。
  • 詳細については、回収を行っている各製造販売業者に問い合わせるよう案内されています。

3. データ上の回収事例:コラテジェン筋注用4mg

条件及び期限付承認と回収が直接つながった事例です。

項目内容
回収番号・クラス2-11847、クラスII(2024年度)、回収終了
製品一般的名称:ベペルミノゲン ペルプラスミド。販売名:コラテジェン筋注用4mg
製造販売業者アンジェス株式会社(再生医療等製品製造販売業、許可番号13F1X10002)
回収理由「条件・期限付承認後に改めて行う製品の製造販売承認申請を取下げますので、市場にある製品を自主回収します。」
健康被害回収理由は品質と安全性に関連しておらず、重篤な健康被害が発生するおそれはないとされています
対象・時期ロット41041、850箱。出荷時期は令和5年4月7日〜令和6年6月24日。回収開始は令和6年6月24日

出典:[17]

この事例は、前回ご説明した第23条の26第5項の流れ(期限内に改めて承認を申請しなければならない)に関わります。その再申請を取り下げた結果、市場の製品が自主回収されました。

Sources:

Q.04