GUIDE · 2026-10-04 · 1 min

ヒヤリハットとは?意味・語源・ハインリッヒの法則と事故との違い、インシデントとの違いと活動の目的・進め方

ヒヤリハットとは、けがや病気に至らなかった危険な出来事です。意味と語源、英語表現、ハインリッヒの法則(1:29:300)、インシデントや労働災害との違いを解説。報告・共有から改善につなげる活動の目的と進め方、職場のあんぜんサイトの事例の探し方を、厚生労働省と労働局の公的資料で確認できます。

ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、仕事中に「ヒヤッとした」「ハッとした」けれども、けがや病気には至らなかった危険な出来事のことです。厚生労働省のリスクアセスメント指針の通達では「労働災害を伴わなかった危険な事象(ヒヤリハット事例)」と書かれています(基発第0310001号)。

ヒヤリハットの意味と語源

職場のあんぜんサイトは「仕事をしていて、もう少しで怪我をするところだった」経験を挙げ、この「ヒヤっとした、あるいはハッとしたこと」を災害防止に結びつけるのがヒヤリハット活動だと説明しています(安全衛生キーワード「ヒヤリハット」)。呼び方は、この2つの反応から来ています。

兵庫労働局のリーフレットはもっと短く、「危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象」と定義しています(兵庫労働局)。表記は「ヒヤリハット」と「ヒヤリ・ハット」の両方です。「ヒアリハット」は書き間違いです。

英語では一般に near miss(ニアミス)と訳されます。医療分野の公的事業も英語名に Near-Miss を使っています(日本医療機能評価機構)。

ハインリッヒの法則(1:29:300)とヒヤリハット

ハインリッヒの法則は、アメリカの損害保険会社の安全技師だったハインリッヒが発表したものです。同じ人間が起こした330件の災害のうち、重い災害(死亡や手足の切断に限らない)が1件あったとすると、軽傷(応急手当で済むかすり傷)が29回、傷害のない事故が300回あります。300回の無傷害事故の背後には、数千の不安全行動や不安全状態があるとも指摘しています(職場のあんぜんサイト)。

比率は目安です。ハインリッヒ自身が、鉄骨の組立と事務員では比率が違うと述べています。同ページは、比率の数字ではなく、災害の背景に危険有害要因が数多くあることが大事だとしています。ヒヤリハットなどの情報をできるだけ把握し、対応策を講じる必要がある、とも書いています(同ページ)。JNIOSHの研究報告RR-94-5(1995年)も、この比率の妥当性は特に確認されていないとしています(RR-94-5)。

ヒヤリハットとインシデント、事故の違い

比べるなら、まず労働災害です。労働安全衛生法第2条第1号は、労働災害を、業務に起因して労働者が「負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること」と定めています(e-Gov 労働安全衛生法)。ヒヤリハットは、この負傷、疾病、死亡が起きなかったものです。

「事故」はけががあるとは限りません。ハインリッヒの法則の300は「傷害のない事故」で、傷害や物損の可能性は残ります(職場のあんぜんサイト)。「ヒヤリハットは無事、事故はけがあり」という分け方は避けてください。

厚生労働省の労働安全のページには、インシデントの定義はありません。医療安全の用語では、誤った医療行為が患者に実施される前に発見されたもの、または実施されたが患者に影響を及ぼすに至らなかったものをインシデントとし、ヒヤリ・ハットと同義に扱っています(厚生労働省)。医療事故情報収集等事業では、消毒、湿布、鎮痛剤の投与など軽微な処置で済んだ事例もヒヤリ・ハットとして報告します(厚生労働省)。職場の報告範囲は、社内規程で決めてください。

ヒヤリハット活動の目的

目的は、ヒヤッとした経験を取り上げ、危険有害要因をつかんで災害を防ぐことです。職場のあんぜんサイトは、危険有害要因を把握する方法の1つとして効果的だとしています(安全衛生キーワード)。厚生労働省の第三次産業向け教材は、未熟練の人に危険を分かりやすく伝えられること、報告で危険感受性が上がること、危険予知訓練やリスクアセスメントの材料になることを効果に挙げています(教材 p.29-30)。

作業前の危険予知では、「どんな危険が潜んでいるか」を話し合い、対策と行動目標を決めて実行します(職場のあんぜんサイト)。教材の例は、離れた窓なら「脚立を移動させる!」と確認し、「ヨシ!」と唱和する、というものです(教材 p.29)。

進め方の基本は兵庫労働局のリーフレットにあります。体験した人が報告書を書いて安全担当者に出し、担当者が改善方法をコメントし、掲示や回覧、安全教育で全員に知らせます。他人の例を見たものや「こうなるのではないか」と予測したものも有効です(兵庫労働局)。報告書の項目は、いつ、どこで、何をした時、どうなったか、要因(機械や設備、作業の方法、作業の環境、心身の不調、その他)が目安です(福岡労働局の資料)。

職場のあんぜんサイトは「労働者を責めないという取決めをし、これを実行しないと、制度が長続きしません」と書いています。手順書どおりにやらなかったのが原因でも、手順書を見直す機会だと同ページは言っています(安全衛生キーワード)。

ヒヤリハット報告を義務づける条文は労働安全衛生法にはありませんが、リスクアセスメント指針の通達はヒヤリハットの記録を調査の情報源に挙げています(e-Gov 労働安全衛生法、基発第0310001号)。

事例を探すなら職場のあんぜんサイト

厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、イラスト付きのヒヤリ・ハット事例が全451件あります。墜落・転落、はさまれ・巻き込まれなど、事故の型の15分類で探せます。一覧には「令和7年5月27日 10件追加」と表示されています(ヒヤリ・ハット事例)。各事例では、業種、作業の種類、状況、原因、対策を確認できます(事例ページ)。

ヒヤリハットについて出典つきで調べ直したいときは、RegAffairs AI でこの質問に答えたページから確認できます。