Q.01

工場で労働災害を防ぐには、どんな対策がありますか?

日本の工場では、労働安全衛生法と労働安全衛生規則に沿って、主に次の5つの柱で労働災害を防ぎます。(1) 安全衛生管理体制をつくる、(2) リスクアセスメントで危険を見つけて減らす、(3) 機械・設備の物理的な防護と作業中の運転停止を徹底する、(4) 教育を行う、(5) 作業環境と健康を管理する。法律は事業者に対し、法律の定める最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて労働者の安全と健康を確保するよう「しなければならない」と定めています [1]。

Approach: 日本の労働安全衛生法と労働安全衛生規則の現行条文、および厚生労働省「職場のあんぜんサイト」の機械災害データベースを調べました。業界団体の自主基準や個別の技術指針の本文は確認していません。

1. 安全衛生管理体制

  • 総括安全衛生管理者(政令で定める規模の事業場):危険・健康障害の防止、教育、健康診断、災害原因の調査と再発防止を統括管理させます [2]。
  • 安全管理者(政令で定める業種・規模):安全に関する技術的事項を管理させます [3]。
  • 安全委員会・衛生委員会:危険防止の基本対策や、災害原因と再発防止策を調べて話し合う場です [4][5]。2つをまとめて安全衛生委員会にすることもできます [6]。

2. リスクアセスメント

  • 製造業の事業者は、設備・原材料・作業行動などの危険性や有害性を調べ、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう「努めなければならない」とされています(努力義務、第28条の2) [7]。
  • 実施するのは次のときです:建物を設置・変更するとき、設備や原材料を新しく採用・変更するとき、作業方法や手順を新しく採用・変更するとき、その他危険性に変化が生じるおそれがあるとき [8]。
  • 法令で定められた化学物質(第57条第1項の政令で定める物と通知対象物)については、調査が「しなければならない」義務になっています(第57条の3) [9]。

3. 機械・設備、作業場所の対策

  • 事業者は、機械・設備、爆発性や引火性の物、電気・熱などによる危険を防ぐ措置を講じなければなりません [10]。作業行動から生じる災害(無理な姿勢での作業など)を防ぐ措置も必要です [11]。
  • 回転部分の防護:原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルトなどには覆いや囲いを設けます。踏切橋には高さ90cm以上の手すりを付けます [12]。
  • 掃除・修理のときは運転を止める:危険があれば機械を停止し、起動装置に錠を掛ける、表示板を付けるなどして、他の人が動かせないようにします(いわゆるロックアウト・タグアウト) [13]。産業用ロボットの点検や掃除にも同じ趣旨の規定があります [14]。
    • 実際の事故例:ローラーの清掃中に運転を止めなかったため、指や手が巻き込まれて休業災害になった事例が、食品製造業と自動車部品製造業で記録されています [15][16]。
  • コンベヤーの作業開始前点検:非常停止装置の機能や、覆い・囲いの異常などを点検します [17]。
  • フォークリフトなど:あらかじめ運行経路と作業方法を示した作業計画を定めて関係者に知らせ、作業指揮者を置きます [18][19]。
  • 墜落防止:高さ2メートル以上の作業床の端や開口部には囲い、手すり、覆いなどを設けます。それが難しいときは、防網や墜落制止用器具を使います [20]。
  • 通路と履物:安全な通路を設けて常に使える状態に保ち、主な通路には表示をします [21]。作業に合った安全靴などを使わせます [22]。

4. 安全衛生教育

  • 雇い入れたときと作業内容を変えたときに教育を行います。危険・有害な業務には特別教育が必要です [23]。
  • 労働者の側にも、事業者が講じた措置に応じて必要な事項を守る義務があります [24]。

5. 作業環境と健康の管理

  • 有害な業務を行う作業場(政令で定めるもの)では作業環境測定を行って記録し [25]、評価の結果に応じて設備の改善などを行います [26]。
  • 医師による健康診断を行い、有害な業務には特殊健康診断を行います [27]。結果は本人に通知し [28]、必要な人には保健指導を行うよう努めます [29]。

工場の業種(食品、金属加工、化学など)や従業員数を教えていただければ、管理者の選任基準や業種ごとの規定(プレス、クレーン、有機溶剤など)まで絞り込んでお調べします。

Q.02