医薬部外品の承認申請手順
医薬部外品の承認申請はどう進めますか?
医薬部外品は、医薬部外品製造販売業許可を持つ者が、品目ごとに薬機法第14条の製造販売承認を取得して進めます。手順は、①製品が医薬部外品に当たるかの確認、②業許可と製造所の確保、③承認基準や前例の範囲内か新規かで申請ルートを選ぶ、④規則第40条の資料をそろえて申請、⑤承認後の変更管理とGQP・GVPの順です。
Approach: 薬機法・施行令・施行規則・GQP省令・GVP省令の現行条文、厚生労働省の医薬部外品製造販売承認基準と関連通知、PMDAの医薬部外品審査報告書を確認しました。都道府県とPMDAの審査権限の分担を全品目について定めた告示・通知は見つけられなかったため、確認できた範囲だけを書いています。
1. 医薬部外品に当たるかを確認する
- 法第2条第2項では、医薬部外品は「人体に対する作用が緩和なもの」です。次のいずれかに当たるものを指します [1]。
- 吐きけその他の不快感・口臭・体臭の防止、あせも・ただれ等の防止、脱毛の防止・育毛・除毛
- ねずみ・はえ・蚊・のみ等の防除
- 厚生労働大臣が指定するもの
- いわゆる「薬用化粧品」もこの医薬部外品に当たり、個別品目ごとに承認が必要です [2]。
- 法第14条第1項は、「厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品」を承認対象から除いています [3]。
2. 前提となる業許可と体制
- 製造販売業許可: 医薬部外品製造販売業許可がなければ、業として製造販売「をしてはならない」とされています(法第12条)[4]。
- 許可の申請書には、品質管理体制と製造販売後安全管理体制の書類を添付します。
- 許可は政令で定める期間(3年以上)ごとに更新が必要です。
- 品質管理と製造販売後安全管理の方法がGQP・GVPの基準に適合しない場合、許可を与えないことができます(法第12条の2)[5]。
- 総括製造販売責任者: 製造販売業者は、省令で定める基準に該当する者を置かなければなりません(法第17条)[6]。
- 製造所: 製造所ごとに製造業許可が必要で、医薬部外品等責任技術者を置きます(法第13条、第17条)[7]。
- 申請品目を製造できる区分の許可・認定・登録が製造所にない場合、承認は「与えない」とされています(法第14条第2項第2号)。
- 海外の製造者が申請する場合: 外国特例承認(法第19条の2)を使います。国内の医薬部外品製造販売業者を選任しなければなりません [8]。
3. 申請ルートを選ぶ
(a) 承認基準のある品目
- 厚生労働省は次の品目に製造販売承認基準などを定めています。それぞれに「申請書作成上の留意点」通知があります。
- 生理処理用品、染毛剤、パーマネント・ウェーブ用剤、薬用歯みがき類、浴用剤
- 新指定医薬部外品(例:ビタミン含有保健剤)
- 薬用石けん、薬用シャンプー・リンスは承認基準ではなく、承認審査の留意事項が通知されています。
- 例として染毛剤の場合(令和3年薬生発0628第7号)[9]:
- 有効成分の種類と使用時濃度上限が別表で決まっています。
- 備考欄に「染毛剤製造販売承認基準による」と記載します。
- 基準に合わない品目は、有効性・安全性・配合理由等の資料を求めて審査されます。
- 同じく染毛剤の留意点通知(令和3年薬生薬審発0628第7号)[10]:
- 申請区分は「区分(5)-1」です。
- 実測値(原則3ロット以上、1ロットにつき3回以上)を添付します。
- 基準による申請では使用前例一覧表は不要です。
- 大臣承認から都道府県知事承認へ権限が移った品目の一部変更・軽微変更は、許可権者の都道府県知事に出します。
(b) 薬用化粧品
- 「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リスト」(平成20年薬食審査発第1225001号)の範囲内で、効能・用法・剤型等が既承認品と同一性のあるもの:原則として有効成分の有効性・安全性資料は求められません [2]。
- 薬用シャンプー・リンスの留意事項(平成26年)[11]:
- 範囲内の申請:その旨を備考欄に記載します。
- 範囲外の申請:承認前例を示す資料、または有効性・安全性の資料を求めて審査されます。
(c) 新規有効成分など前例のない品目
- PMDAが審査し、専門協議を経ます。PMDAの審査報告書には、審査の結果、製造販売後調査が必要と判断された薬用化粧品の例があります [12]。
- 既承認品と有効成分・効能等が明らかに異なる場合、厚生労働大臣は承認前に薬事審議会の意見を聴かなければなりません(法第14条第12項)。
- 実例では、化粧品・医薬部外品部会で「承認して差し支えない」とされています(令和8年6月2日付、アース製薬「アミノジン HK1」)[13]。
4. 申請書と添付資料
- 申請書: 様式第二十二で提出します(施行規則第38条)[14]。
- 部数は、大臣宛は正本1通・副本2通、都道府県知事宛は正副2通です。
- 製造販売業許可証の写しを添付します。
- 医薬部外品の添付資料(施行規則第40条第1項第2号)[15]:
- イ:起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等
- ロ:物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等
- ハ:安定性
- ニ:安全性
- ホ:効能又は効果
- 添付の省略: 医学薬学上公知など合理的理由があれば省略できます(同条第2項)。
- 試験施設と不利なデータ: 試験は適正に運営管理された施設で実施しなければなりません。品質・有効性・安全性を疑わせる資料は提出しなければなりません(同条第3項・第4項)。
- 承認されない場合(法第14条第2項第3号): 効能効果が認められないとき、効能に比べて著しく有害なとき、性状・品質が保健衛生上著しく不適当なとき(規則第39条)[16]。
- 申請先と審査機関:
5. GMP適合性調査
- GMP調査の対象は、医薬部外品のうち「製造管理又は品質管理に注意を要するもの」として大臣が指定するものだけです(施行令第20条第2項)[19]。
- 対象品目は、承認時と承認後5年ごとに調査を受けます(法第14条第6項、施行令第21条)[20]。
6. 承認後
- 一部変更承認: 承認事項を変更する場合は様式第二十三で申請します(法第14条第13項、規則第46条)[21]。
- 次の変更は一変の対象です(規則第47条)[22]:本質・特性・安全性に影響する製造方法等の変更、用法用量・効能効果の追加・変更・削除、品質・有効性・安全性に影響するおそれのある変更。
- 軽微変更届: それ以外の軽微な変更は、変更後30日以内に届け出ます(規則第48条)[23]。
- GQP(品質管理): 品質保証責任者を置かなければなりません(GQP省令第17条)[24]。品質管理業務手順書の作成、出荷記録、回収処理なども義務です(第18条)[25]。
- GVP(製造販売後安全管理): 医薬部外品の製造販売業者は「第三種製造販売業者」です(GVP省令第2条第10項)[26]。第15条で準用される規定に従います [27]。
対象品目のカテゴリー、有効成分、配合量を教えていただければ、どの承認基準や前例リストに当たるか、そのルートで何が必要かを個別に確認します。
製造販売業許可と製造業許可はどう違いますか?
製造販売業許可は、製品を自社の責任で市場に出す(販売・授与する)ための許可です。出荷する品目の品質と製造販売後安全に責任を負う「元売り」の許可で、会社単位で取ります。製造業許可は、実際に製造(包装・表示・保管を含む)を行うための許可で、製造所ごとに取ります。医薬部外品を自社で製造して自社で売る場合は両方が必要です。製造を外部に委託する場合は、自社は製造販売業許可だけを持ち、委託先の製造所が製造業許可を持つ形になります。
Approach: 薬機法、同法施行令、同法施行規則の現行条文(第2条第13項、第12条〜第13条の3、第17条・第18条、施行令第3条・第10条・第80条、施行規則第25条)を確認しました。
比較表(医薬部外品の場合)
| 項目 | 製造販売業許可 | 製造業許可 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 法第12条 | 法第13条 |
| 許可がないとできないこと | 業として医薬部外品の製造販売「をしてはならない」[4] | 業として医薬部外品の製造「をしてはならない」[7] |
| 許可の単位 | 製品の種類ごと(医薬品は第一種・第二種、医薬部外品、化粧品)。医薬部外品は「医薬部外品製造販売業許可」 | 省令で定める区分に従い、製造所ごと |
| 許可の区分 | なし(医薬部外品で一つ) | 医薬部外品は3区分(施行規則第25条第2項)[28]:①無菌医薬部外品の製造工程の全部又は一部、②それ以外の医薬部外品の製造工程の全部又は一部、③包装・表示・保管のみ |
| 審査で見られる基準 | 品質管理の方法(GQP)と製造販売後安全管理の方法(GVP)。不適合なら許可を「与えないことができる」(法第12条の2)[5] | 製造所の構造設備。不適合なら許可を「与えないことができる」。書面又は実地の調査を「行うものとする」(法第13条第5項・第7項) |
| 申請書の記載・添付 | 総括製造販売責任者の氏名。品質管理体制と製造販売後安全管理体制の書類 | 製造所の構造設備の概要。医薬部外品等責任技術者の氏名 |
| 置くべき責任者 | 総括製造販売責任者:省令で定める基準に該当する者を「置かなければならない」。品質管理と製造販売後安全管理を行わせる(法第17条第1項)[6] | 医薬部外品等責任技術者:製造所ごとに、製造を実地に管理させるため「置かなければならない」(法第17条第10項・第11項) |
| 有効期間 | 5年(施行令第3条)[29] | 5年(施行令第10条)[30] |
| 許可権者(人用の医薬部外品) | 総括製造販売責任者が業務を行う事務所の所在地の都道府県知事(施行令第80条第2項第1号)[18] | 製造所の所在地の都道府県知事(同項第3号) |
| 遵守事項の根拠 | 法第18条第1項・第2項(GQP省令・GVP省令)[31] | 法第18条第3項・第4項(製造所での試験検査の実施方法、責任技術者への配慮事項など) |
押さえておくべき点
- 「製造販売」の定義(法第2条第13項): 製造(他に委託して製造する場合を含み、他から委託を受けて製造する場合を除く)又は輸入をした医薬部外品を、販売・貸与・授与することを指します [1]。
- 委託製造でも、輸入品でも、市場に出す者が製造販売業者です。
- 受託製造だけを行う会社は製造販売業者に当たらず、製造業許可だけで足ります。
- 品目承認との関係: 前回お伝えしたとおり、品目ごとの製造販売承認(法第14条)は製造販売業者が取得します。申請品目を製造する製造所に、その区分の製造業許可(又は外国製造業者の認定・登録)がなければ、承認は与えられません。
- 区分の変更・追加: 製造業許可を受けた製造所で区分を変更・追加する場合は、改めて許可を「受けなければならない」とされています(法第13条第8項)。申請は様式第十五で行います(施行規則第31条)[32]。
- 海外の製造所: 日本向けの医薬部外品を海外で製造する者は、製造業許可ではなく「医薬品等外国製造業者の認定」を製造所ごとに受けることができます(法第13条の3)[33]。認定の区分は国内の製造業許可と同じ3区分です(施行規則第35条第2項)[34]。
- 輸入した製品を国内で包装・表示・保管するだけの拠点にも、③の区分(包装・表示・保管のみ)の製造業許可が必要になります。
自社で製造するか委託するか、国内製造か輸入かを教えていただければ、必要な許可・認定の組み合わせと責任者の配置を具体的に整理します。
原料規格と添加物はどう確認しますか?
医薬部外品の原料と添加物は、次の3点で確認します。
- 規格: 配合する全成分が、公定書(日局、外原規2021、食添など)のどれかに収載された規格に当たるかを見ます。収載がなければ「別紙規格」を自社で設定して添付します。
- 添加物: その成分が、品目の種類ごとの添加物リストに前例として載っているかを見ます。リストは、医薬部外品添加物リストと、染毛剤・パーマネント・ウェーブ用剤それぞれの専用リストです。
- 着色料: タール色素を使う場合は、省令で認められた色素で、省令の規格に適合するものかを見ます。
Approach: 厚生労働省の医薬部外品原料規格2021、医薬部外品添加物リスト、染毛剤・パーマネント・ウェーブ用剤の添加物リスト、タール色素省令、品目別の承認基準・留意点通知、薬機法第56条・第60条を確認しました。日本薬局方、局外規、薬添規、食品添加物公定書の各条本文は今回は見ていません。
1. 原料規格:どの公定書の規格に当たるか
規格コード: 申請書の規格欄には、成分ごとに準拠する公定書をコードで書きます。パーマ剤添加物リスト通知の規格コード表は次のとおりです [35]。
- 01:日本薬局方
- 31:食品添加物公定書
- 51:医薬部外品原料規格2021
- 71:日本産業規格
- 73:タール色素省令の別表に定める規格
生理処理用品の基準では、さらに次のコードも使われています [36]。
- 24:日本薬局方外医薬品規格
- 25:医薬品添加物規格
- 55:生理処理用品材料規格
- 74:医療ガーゼ・医療脱脂綿基準
外原規2021: 令和3年3月25日薬生発0325第1号で示されています。同じ通知の中で、それ以前の版は「旧外原規」と呼ばれています [35]。
- 各条は成分ごとのモノグラフで、含量、性状、確認試験、純度試験などが定められています。
- 例:濃グリセリンは、グリセリン95.0%以上を含むこと、重金属5ppm以下、ヒ素2ppm以下、ジエチレングリコール及び類縁物質の試験などが規定されています [37]。
有効成分の規格(承認基準のある品目): 承認基準の別表に付いた記号で、どの公定書の規格に適合「すること」が求められるかが決まります。
- 染毛剤:Q=外原規、P=日局、F=食添、J=JIS [9]
- 薬用歯みがき類:上記に加えて G=局外規、E=薬添規 [38]
- 浴用剤:P・Q・F [39]
- 薬用石けん:P・Q [40]
- パーマ剤:Q・F・J の成分は「別紙規格の添付を省略することができる」とされています [41]。
公定書に収載がない成分: 規格を「99(別紙規格)」、成分コードを「999999」とし、別紙規格欄に規格を書きます。日局・外原規などに収載された成分なら、規格名を書くだけで規格内容の記載を省略できます(生理処理用品Q&A)[42]。
2. 添加物:添加物リストに前例があるか
医薬部外品添加物リスト(厚生労働省): 連番1〜2746の成分名が並んだリストです。例:グリセリンは連番689、濃グリセリンは連番1558 [43][44]。
品目別の通知は、添加剤の種類・規格・分量をこのリストに従わせています。
- 薬用石けん: リスト中の「医薬部外品の種類」欄の(1)による「ものとする」 [40]
- 薬用シャンプー・リンス: 同じく種類(1)による [11]
- 薬用歯みがき類: リストの薬用歯みがき類の項の「とおりとする」 [38]
- 浴用剤: 審査管理課長が「別途…定めるものとする」 [39]
染毛剤とパーマ剤は専用リストを使います。
- パーマネント・ウェーブ用剤添加物リスト(令和3年9月30日薬生薬審発0930第5号):0001〜1836の各成分に、成分コード、規格コード、英名、使用濃度上限、備考が載っています。例:連番0001は規格コード51、使用濃度上限5.0、備考「外原規2021」です [45]。
- リストの改正に合わせて軽微変更届を出す場合、備考欄にこの通知による届出である旨を記載します [35]。
- 染毛剤添加物リスト: 0001〜1848の成分が並んでいます [46]。令和4年12月23日薬生薬審発1223第8号で一部改正されました。このとき削除された品目は、令和4年12月31日まではリストに収められているものとみなすことができました [47]。
薬用化粧品の有効成分: 有効成分は別の「有効成分リスト」で、規格と分量の前例を確認します。このリストの規格は、外原規2006と局外規2002を基準に書かれています [2]。
3. タール色素
- 医薬部外品は法第60条により第56条が準用されます。そのため、着色だけを目的に、省令で定める色素以外のタール色素を使った製品は、販売・製造等「してはならない」とされています(第56条第9号)[48][49]。
- タール色素省令第2条は、医薬部外品に第1条を準用しています [50]。
- 使える色素は「別表に規定する規格に適合するものに限」られます。
- 区分は、外用以外は第一部、外用は第一部・第二部、粘膜に使用しない外用は第一部〜第三部です。
- 規格への適合は、別表第四部の方法で判定します。
- 人体に直接使用しない医薬部外品と染毛剤には、全てのタール色素が使えます。
4. 申請書に書くときの留意点(各品目の留意点通知に共通)
- 規格名の略記: 「日局」「外原規」「食添」「局外規」「薬添規」「JIS」と略して書いて差し支えありません [51]。
- パラベン: 外原規のパラオキシ安息香酸エステル類のうち6種のエステルは、規格を「外原規」、成分名を「パラオキシ安息香酸エステル」とまとめて書いて差し支えありません。
- 混合物(プレミックス): 規格欄を「別紙規格」とし、個々の成分名・規格・分量を記載した別紙規格を添付します [10]。
- 動物由来原料: 製造方法欄の記載例があります。外原規の規格によるほか、健康な動物由来の原料を使い、生物由来原料基準で使用が禁じられた反芻動物の部位が混入しないよう採取した旨を書きます [52]。
通知の参照先が古い点: 石けん・シャンプー・歯みがきの通知は添加物リストを「平成20年3月27日付 薬食審査発第0327004号」として引用しています。シャンプーの通知は有効成分規格を「医薬部外品原料規格2006」として引用しています。現行の外原規2021や改正後のリストとの対応は、今回確認した資料には明記されていませんでした。
配合予定の成分を挙げていただければ、外原規2021への収載、添加物リストの連番、タール色素省令上の区分を成分ごとに照合します。