ヒヤリハット報告書の書き方
Q.01
ヒヤリハット報告書はどう書けばいいですか?
A.01
ヒヤリハット報告書は、「いつ・どこで・何をしていた時に・何が起きかけたか」を事実として書き、次に「原因(不安全な状態や行動)」、最後に「今後の対策」を書く、という順に組み立てます。今回調べた労働安全衛生法令には、報告書の様式を定めた規定は見つかりませんでした。そのため、厚生労働省の事例集と新潟労働局の様式例を手本にするのが実務的です。
Approach: 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のヒヤリ・ハット事例集、労働安全衛生法・労働安全衛生規則の条文、新潟労働局が公開している報告制度の導入例(様式と記入例)を確認しました。
1. 報告書の基本項目(新潟労働局の様式例による)
新潟労働局の例示資料(ヒヤリハット事例・想定ヒヤリ 報告制度の導入について(例) 3ページ)の様式は、次の欄で構成されています。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 所属・氏名 | 報告者 |
| いつ | 年月日、曜日、時刻 |
| どこで | 例:梱包ライン、商品の仕分け作業庫 |
| どうしていた時 | 例:梱包作業中、商品の運搬中 |
| あらまし | ヒヤリハットした時、または危険を感じた時の状況 |
| どのような問題があったか | ①作業環境、②設備機器、③作業方法のうち該当する欄に、その時の状態と考えられる対策を書く |
| あなた自身の問題 | 自分の行動の問題 |
| 今後の対策 | 「こうしてほしい・こうしたほうがよい」 |
| 心身分析 | 「気がつかなかった」「大丈夫だと思った」「あわてていた」「疲れていた」など12項目から、当てはまるものすべてに○ |
| 報告の種別 | 「ヒヤリハット」か「想定ヒヤリ」に○ |
| 安全管理者の記入欄 | 報告者は記入しない |
同じ資料の記入例(5ページ)は次のようになっています。
- あらまし:「梱包機で連続して流れていた○○がズレてきたので、直そうと手を出したとき、カッターに指をはさまれそうになった」
- 設備機器の問題:「機械の停止ボタンが作業位置から離れている」
- 今後の対策:「停止ボタンを作業場所から近い所に設置して欲しい」
2. 書き方のコツ(厚労省の事例集の構成から)
職場のあんぜんサイトの事例は、「タイトル/業種/作業の種類/ヒヤリ・ハットの状況/原因/対策」という構成で書かれています。例を挙げます。
- 状況:「店舗内のエアコンフィルターを清掃するため脚立を数段上ったところ、開き止め金具をしっかり架けておかなかったため、脚立が急に開き、転落しそうになった。」[1]
- 原因:二者が関わる場合は、双方の要因を分けて書いています。「フォークリフトの運転手が、検品作業員の位置をよく確認しないまま…発進させたこと。また、検品作業員は…安全な場所へ移動しなかったこと。」[2]
- 対策:具体的な行動として書いています。「『右ヨシ、左ヨシ、前方ヨシ』と指差呼称を行う」など。[2]
ここから言えるポイントは次の4つです。
- タイトルは「何をしていて、何が起きそうになったか」を1文で書く。
- 状況は数値や位置まで具体的に書く。例:「高さ4mの脚立の天板上」[3]
- 原因は個人の不注意だけで終わらせず、設備・環境・手順の問題も書く。
- 対策は「注意する」ではなく、誰が何をするかが分かる形で書く。
3. 運用上の注意(同じ新潟労働局資料より)
- 書ける範囲で書けばよい:「記入できる範囲でもよいので自由に作成して下さい」とされています。職長が代わりに作成・提出してもかまいません。原因分析の欄は「わからなければ、空欄のままで提出してもかまいません」と注記されています(1、7ページ)。
- 報告者を責めない:「労働者を責めないという取決めをし、これを実行しないと、制度が長続きしません」とされています。手順書どおりに作業しなかったことが原因でも、「手順書に無理があって守ることができないのかもしれません。手順書の見直しの良い機会と考えるべきです」としています(2ページ。出典として職場のあんぜんサイト「安全衛生キーワード」が示されています)。
- 報告後の流れ:体験者が作成し、安全担当がコメントを記入し、関係者で具体的な安全対策を検討し、全員に周知します(1ページ)。改善事例は社内報などで広く共有するよう勧めています(2ページ)。
- 想定ヒヤリも対象にできる:実際にヒヤリとしていなくても、作業中に危険を感じたことを報告対象に含める方法が紹介されています。
- 厚労省の安全衛生キーワード「ヒヤリハット」も、同じ考え方を示しています。
4. 法令上の位置づけ
- 様式の定め:確認した労働安全衛生法と労働安全衛生規則の条文には、ヒヤリハット報告書そのものの様式や提出義務を定めた規定は見つかりませんでした。
- 危険性又は有害性等の調査:集めた情報は、労働安全衛生法第28条の2の調査につなげられます。同条は、事業者がこの調査を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう「努めなければならない」と定めています。ただし、化学物質など以外に関する調査は、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限られます。[4]
- 安全委員会:労働安全衛生規則第21条は、この調査と、その結果に基づき講ずる措置のうち安全に係るものを、安全委員会の付議事項に含めています。[5]
- 議事の記録と周知:同規則第23条は、委員会を毎月1回以上開催するよう定めています。開催のたびに、議事の概要を労働者に周知し、委員会の意見とそれを踏まえて講じた措置の内容を記録して、3年間保存「しなければならない」とされています。[6]
業種や作業(例:フォークリフト、脚立、食品機械)を教えていただければ、事例集から近いヒヤリ・ハット事例を探し、記入例を作成します。
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