Q.01

医療機器の回収情報はどこで確認できますか?

日本の医療機器の回収情報は、**PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトの「回収情報(医療機器)」**で確認できます。年度別・クラス別(クラスI〜III)の一覧があり、そこから回収番号ごとの回収概要ページを開く構成です。回収の報告義務は医薬品医療機器等法 第六十八条の十一に定められています。

掲載の構成

  • 一覧ページ: 年度とクラスごとに分かれています。たとえば2026年度のクラスIIIは https://www.info.pmda.go.jp/kaisyuu/rcidx26-3k.html、クラスIは rcidx26-1k.html です [1][2]。
  • 個別の回収概要: 回収番号(recallno)ごとのページです。例:https://www.info.pmda.go.jp/rgo/MainServlet?recallno=1-2475 [2]。
  • 各ページの記載項目: 一般的名称・販売名、製造販売業者(名称、所在地、許可の種類、許可番号)、回収着手日、回収理由などです。

最近の掲載例(2026年度)

回収番号クラス販売名(一般的名称)製造販売業者回収着手日
1-2475IRelayPro 胸部ステントグラフトシステム(大動脈用ステントグラフト)テルモ株式会社令和8年6月1日 [2]
3-3118IIIポリ・バフ-ファイナル(歯科用研磨器材)デンケン・ハイデンタル株式会社令和8年10月14日 [1]
3-3117IIIUTIPPA ウチッパ(非能動型接触鍼)株式会社ワールドワーク令和8年10月14日 [3]
3-3116IIIキタザトETカテーテル(胚移植用カテーテル)株式会社北里令和8年10月1日 [4]

2026年度のクラスI回収として確認できたのは1-2475の1件です。回収理由は、デリバリーシステムのリリース機構に不具合が生じ、ステントグラフトの完全展開またはデリバリーシステムの抜去が困難となる可能性があるというものです [2]。

法的根拠

医薬品医療機器等法 第六十八条の十一(回収の報告)は、医療機器の製造販売業者等が製品を回収するときについて、次のように定めています。「回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならない」。ただし、第七十条第一項の規定による命令を受けて回収する場合は除かれます [5]。

PMDAは医薬品と再生医療等製品の回収情報も、医療機器とは別の区分で公表しています。日本以外(米国FDA、EUなど)の回収情報が必要であれば、対象の国・地域を指定してください。販売名、製造販売業者、一般的名称、年度、クラスでの絞り込み検索もできます。

Approach: PMDAの医療機器回収情報と、医薬品医療機器等法の条文を確認しました。今回は日本の公表情報だけを対象にしています。

Q.02

回収のクラスはどう判断しますか?

回収のクラスは、厚生労働省医薬食品局長通知「医薬品・医療機器等の回収について」(平成26年11月21日 薬食発1121第10号)で決めます。基準は、不良品を使うことで生じる健康への危険性の程度です。考え方としては、まずクラスⅡと置きます。健康被害の原因になるとはまず考えられない「積極的な理由」があればクラスⅢ、クラスⅡより重篤な健康被害のおそれがあればクラスⅠにします(通知 PDF(PMDA掲載) 第2の3)。

クラスの定義(通知 第2の3(1))

クラス定義(原文どおり)
Ⅰその製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況
Ⅱその製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況又はその製品の使用等による重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況
Ⅲその製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況

判断の考え方(通知 第2の3(2))

  • 「健康被害」は総合的に見ます。 直接的な安全性(手術時間の延長を生じるおそれのある状況等を含む)だけでなく、有効性も勘案します。たとえば期待される効果が得られない、正確な診断に影響を及ぼすおそれがある、といった状況です。
  • 出発点はクラスⅡです。 ⅢにはⅡでないとする積極的な理由が、ⅠにはⅡより重篤な被害のおそれが必要です。
  • 事前相談が求められます。 クラスⅠかⅢが妥当と思われる場合、または後の状況で当初のクラスを変える場合は、理由を明確にしたうえで相談することとされています。相談は都道府県薬務主管課等を通じ、事前に厚生労働省の監視指導・麻薬対策課へ行います。

クラスによって変わる対応(同通知)

  • クラスⅠ:
    • 医薬品安全管理責任者・医療機器安全管理責任者等へ情報が周知されたことを確認したうえで、回収品の有無を文書で確認します(第3の1(3))。
    • 回収率や健康被害の発生状況を定期的に報告します。回収着手当初は、おおむね1か月ごとの報告が「望ましい」とされています。
  • プレスリリース(第3の4):
    • クラスⅠでは原則として行います。例外は、ロットを構成せず同種他製品に不良が及ばず、かつ使用されないことが確実な場合です。
    • クラスⅡでも原則として行います。例外は、対象医療機関等をすべて把握している場合など、報道機関を使う必要性が乏しい場合です。
  • 海外への緊急回収通報(第3の3): 対象はGMP省令の適用を受ける医薬品で、医療機器には適用されません。

PMDA掲載例での当てはめ

  • クラスⅠ(1-2475): デリバリーシステムの不具合で、ステントグラフトの完全展開や抜去が困難となる可能性があるという理由です [2]。
  • クラスⅢ(3-3071): カルテラベルの使用期限の誤記です。有効性・安全性に問題はなく、「健康被害の原因となる可能性はまず考えられません」とされています [6]。
  • クラスⅢ(3-3078): 法定表示のクラス分類の誤記(管理医療機器を一般医療機器と記載)です [7]。

なお、ここでいう回収のクラスⅠ〜Ⅲは、医療機器そのもののリスクによるクラス分類(一般・管理・高度管理医療機器)とは別の仕組みです。上の3-3078は、後者のクラス表示を誤ったことによる回収の例です。

報告義務そのものは医薬品医療機器等法 第六十八条の十一 [5] と施行規則 第二百二十八条の二十二 [8] が定めています。ただし、どちらの条文にもクラス分類の規定はありません。今回開いたのは平成26年発出時の通知本文です。その後に一部改正があったかどうかは確認できていません。

Approach: 医薬品医療機器等法・施行規則の条文とPMDAの医療機器回収情報を確認しました。クラスの定義は条文やデータセットに見つからなかったため、PMDAが掲載している厚生労働省通知の原文を開いて確認しました。

Sources:

Q.03

自主回収の報告には何が必要ですか?

自主回収(第七十条第一項の命令によらない回収)をするときは、回収に着手したら速やかに、施行規則 第二百二十八条の二十二 第1項の9項目を報告します。その後、報告事項の変更などがあれば状況報告、回収が終わったら終了報告が必要です。医療機器の場合、報告先は原則として都道府県知事で、総括製造販売責任者が業務を行う事務所の所在地の知事です [8][9]。報告は原則として文書で行い、あわせてPMDAサイトに掲載する資料も出します(厚労省通知 薬食発1121第10号 第3)。

1. 回収着手報告(施行規則 第二百二十八条の二十二 第1項)

回収に着手した後「速やかに」、次の事項を「報告しなければならない」と定められています [8]。右の列は、通知 第3の1(1)が各号について示している具体的な記載内容です。

号省令の報告事項通知での具体化(医療機器)
一回収を行う者の氏名及び住所法人名、代表者氏名、総括製造販売責任者の事務所所在地、担当者の氏名・連絡先
二品目の名称、許可番号・許可年月日または登録番号・登録年月日、承認・認証番号と年月日または届出年月日一般的名称と販売名、製造販売業者の許可番号・許可年月日、回収の原因となった工程に責任を有する登録製造所の登録番号・登録年月日
三回収対象品目の数量、製造番号または製造記号、製造販売・製造・輸入年月日(通知に追加の指定なし)
四製造所と主たる機能を有する事務所の名称・所在地原因工程に責任を有する登録製造所、製造販売業者の主たる機能を有する事務所
五輸出品であれば輸出先の国名(通知に追加の指定なし)
六回収に着手した年月日(通知に追加の指定なし)
七回収の方法出荷時期、回収対象医療機関・患者等の範囲、周知方法、回収先で受領を文書確認する旨
八回収終了予定日(通知に追加の指定なし)
九被害の発生・拡大防止のために講じようとする措置回収理由、予想される健康被害の程度、回収決定時点の健康被害の発生状況
  • 提出方法: 原則は文書です。危急の事情があるときは、ファックス等で概要を先に報告し、文書を後日提出してもよいとされています(通知 第3の1)。
  • クラス分類: クラスⅠかⅢが妥当と考える場合は、都道府県を通じて事前に厚労省の監視指導・麻薬対策課へ相談することとされています(通知 第2の3(2)③)。

2. インターネット掲載用資料(通知 第3の2)

回収着手報告と合わせて、速やかに提出するよう求められています。様式例は別紙1です。

  • 記載事項: 作成年月日、製品の種別、クラス、一般的名称と販売名、対象ロット・数量・出荷時期、製造販売業者等の名称、回収理由、危惧される具体的な健康被害、回収開始年月日、効能・効果または用途等、その他、担当者と連絡先。
  • 作成ルール: 原則として1品目につき1資料です。PMDAのテンプレートを使い、テキスト形式で作成し、電子メール等で都道府県に提出します。
  • プレスリリース: クラスⅠとクラスⅡでは原則として求められます(例外あり、第3の4)。

3. 回収の状況報告(同条 第2項/通知 第4)

回収に着手した製造販売業者等は、次の場合に「速やかに」報告しなければなりません [8]。

  1. 第1項の報告事項に変更が生じたとき(軽微な変更を除く)。
  2. 着手時に想定していなかった健康被害のおそれを知ったとき。
  3. 大臣(都道府県)が必要と認めて回収の状況の報告を求めたとき。

通知が挙げる「軽微な変更」の例は、対象範囲、周知方法、受領確認文書、回収終了予定日です。ただし、予定日がおおむね1か月以上遅れる場合は報告の目安とされています。クラスⅠでは、回収率と健康被害の発生状況を定期的に報告します。着手当初はおおむね1か月ごとの報告が「望ましい」とされています(第3の1(3)④)。

4. 回収終了報告(同条 第3項/通知 第5)

回収終了後「速やかに」、回収を終了した旨を報告しなければなりません [8]。報告は原則として文書で行い、通知は次の3点を記載するよう求めています。

  • 既に講じた、または今後講じる改善策
  • 回収品の処分方法
  • 回収した数量

回収品は他の製品と区別して保管し、原則として回収終了後に廃棄します(QMS省令 第72条第2項第6号)。

報告の根拠

報告義務は医薬品医療機器等法 第六十八条の十一にあります。対象は、製造販売業者、外国特例承認取得者、輸出用製品の製造業者です。厚生労働省令の定めに従い「回収に着手した旨及び回収の状況」を報告しなければなりません [5]。医療機器の製造販売業者に関するこの事務は、施行令 第八十条第3項第二号により都道府県知事が行います [9]。

通知は平成26年11月発出時の本文を確認しました。その後に改正されたかどうかは、今回確認できていません。都道府県が独自に定める報告書様式も確認していません。

Approach: 医薬品医療機器等法、施行令、施行規則の条文を確認し、具体的な記載事項はPMDAが掲載している厚生労働省の回収通知の原文で確認しました。

Sources:

Q.04