食品添加物とは何か
食品添加物とは何ですか?
食品添加物とは、日本の食品衛生法では、食品の製造の過程で使うか、食品の加工または保存のために、食品に添加、混和、浸潤その他の方法で使用する物をいいます(第4条第2項)[1]。食品そのものとは別の法的な区分で、原則として販売や使用に国の認可(指定)が必要です。
日本:食品衛生法(参照したのは平成30年法律第46号改正時点の法令翻訳)
- 定義(第4条第2項): 「この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によつて使用する物をいう。」[1]
- 天然香料も添加物に含まれます(第4条第3項): 天然香料は「動植物から得られた物又はその混合物で、食品の着香の目的で使用される添加物」と定義されています。[1]
- 指定制度(第12条): 添加物と、それを含む製剤や食品は、販売できず、販売のために製造、輸入、加工、使用、貯蔵、陳列することもできません。例外は、人の健康を損なうおそれのない場合として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める場合だけです。ただし、天然香料と、一般に食品として飲食されている物を添加物として使う場合は、この規制の対象外です。[2]
- 衛生規制(第5条・第6条): 添加物は、清潔で衛生的な取扱いの義務や、有害物質を含む物の販売禁止などについて、食品と同じ扱いを受けます。[3]
参考:EU(規則 (EC) No 1333/2008 第3条第2項(a)、現行統合版)
- EU では、次の条件をすべて満たす物質を食品添加物としています。[4]
- それ自体は通常食品として食べられず、食品の特徴的な原材料としても通常使われない。
- 栄養価の有無は問わない。
- 製造、加工、調製、処理、包装、輸送または保存の段階で、技術的な目的のために意図して加えられる。
- その結果、その物質または副生成物が、直接または間接に食品の成分になる(またはなると合理的に予想される)。
- 次のものは食品添加物に当たらないと明記されています:甘味目的で使う単糖類・二糖類・オリゴ糖、チューインガムベース、塩化アンモニウム、食用ゼラチン、カゼイン、イヌリンなど。[4]
- 「加工助剤」は食品添加物とは別に定義されています。加工中に技術的な目的で使い、最終製品には技術的に避けられない残留しか残らず、その残留が健康リスクも技術的効果も持たないものを指します。[4]
日本の定義は使用の目的と方法から幅広く捉えています。EU の定義は「技術的目的」と「食品そのものではないこと」を軸に、除外品目を列挙している点が違います。
Approach: 日本の食品衛生法の法令翻訳と、EU 食品添加物規則 (EC) No 1333/2008 の現行統合版を確認しました。米国など他の法域の定義は今回は調べていません。
ご希望があれば、日本の指定添加物リストや既存添加物名簿に個別の物質が載っているか、また使用基準を続けて調べられます。
指定添加物と既存添加物の違いは?
**主な違いは、国が個別に使用を認めたもの(指定添加物)か、平成7年の食品衛生法改正のときに、長く使われてきた実績を理由として例外的に使用を認められたもの(既存添加物)か、という点です。**指定添加物は、食品衛生法第12条に基づき厚生労働大臣が定めたもので、食品衛生法施行規則別表第一に載っています。化学的合成品も天然物も対象です。既存添加物は化学合成品以外に限られ、指定を受けずに使用・販売できるもので、既存添加物名簿に載っています。
| 項目 | 指定添加物 | 既存添加物 |
|---|---|---|
| 根拠 | 食品衛生法第12条。人の健康を損なうおそれのない場合として、厚生労働大臣が審議会の意見を聴いて定めたもの以外は販売・製造・輸入・使用などが禁止されています [2] | 平成7年の食品衛生法改正で設けられた枠組みです。指定を受けずに、例外的に使用・販売などが認められています(厚生労働省) |
| 対象 | 化学的合成品と天然物の両方(同上) | 化学合成品以外で、国内で広く使われ、長い食経験があるもの(同上) |
| 収載先 | 食品衛生法施行規則 別表第一 | 既存添加物名簿 |
| 収載数(データセット上) | 現行リストは No.1 から No.476 まで [5][6] | 名簿の番号は No.1 から No.327 まで [7][8] |
| リストの変動 | 新しく指定されると追加されます | 流通の実態がなくなったものなどは、その都度名簿から削除(消除)されます。令和5年6月20日には、消除予定添加物名簿を作るための販売等調査が行われています(厚生労働省) |
| 例 | アスパルテーム(No.15)[9]、グルコン酸亜鉛・硫酸亜鉛に限る亜鉛塩類(No.1)[5] | クチナシ黄色素(No.93、クチナシの果実から得たクロシンとクロセチンが主成分)[10]、ローズマリー抽出物(No.327)[8] |
残りの2つの区分(天然香料・一般飲食物添加物)
- 第12条の指定制度は、天然香料と、一般に食品として飲食されている物を添加物として使う場合には適用されません [2]。
- 厚生労働省は、日本で使える食品添加物を「指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物」の4つに分けています。一般飲食物添加物の例として、イチゴジュースや寒天が挙げられています(厚生労働省)。
実務では、ある物質が指定添加物リストにも既存添加物名簿にも載っておらず、天然香料や一般飲食物添加物にも当たらない場合、第12条によって販売や使用はできません [2]。
Approach: 日本の食品衛生法の法令翻訳、日本食品化学研究振興財団が公開している指定添加物リスト(施行規則別表第一)と既存添加物名簿を確認し、制度の経緯と消除については厚生労働省の公式ページで補いました。リストはどちらも英語名で収載されています。既存添加物の法的根拠となる平成7年改正法の附則の条文そのものは確認できませんでした。
ご希望があれば、特定の物質がどちらのリストに載っているかを続けて調べます。
Sources:
使用基準や表示のルールはどうなっていますか?
日本では、使用基準は食品衛生法第13条に基づいて添加物ごと・食品ごとに定められています。表示は2015年からは食品表示法の下の食品表示基準で定められていて、加工食品に使った添加物は、加工助剤とキャリーオーバーを除き、原則として物質名で表示します。直近の大きな改正は令和7年3月28日のもので、栄養強化目的の添加物も表示の対象になりました(経過措置は令和12年3月31日まで)。
1. 使用基準(食品衛生法)
法的根拠
- 厚生労働大臣は審議会の意見を聴き、添加物の製造、加工、使用、調理、保存の方法の基準と、成分の規格を定めることができます(第13条第1項)[11]。
- 基準に合わない方法で使った食品は、製造も販売も輸入もできません(第13条第2項)[11]。
- 使用基準と成分規格は「食品添加物公定書」にまとめて収載されます(第21条)[12]。
基準の形 使用基準は、主に次の3つの組み合わせで定められています。
| 基準の型 | 例 |
|---|---|
| 使える食品と最大使用量 | ソルビン酸:チーズ 3.0 g/kg、ジャム 1.0 g/kg など(ソルビン酸として)[13] |
| 併用時の合計上限 | マーガリンで安息香酸類と併用する場合は、合計 1.0 g/kg 以下 [13] |
| 残存量の上限 | 亜硝酸ナトリウム:食肉製品 0.070 g/kg、たらこ 0.0050 g/kg(亜硝酸根の残存量として)[14] |
| 使用禁止の食品 | 二酸化チタン:着色目的に限り、鮮魚介類、食肉、野菜、みそ、しょうゆ、めん類などには使用不可 [15] |
| 最終食品前の除去・分解 | 亜塩素酸水:最終食品の完成前に除去または分解すること [16] |
| 特別用途食品の例外 | アセスルファムカリウム、アドバンテーム、アスパルテーム:特別用途表示の許可を受けた食品には最大使用量を適用しない [17] |
2. 表示ルール(食品表示法・食品表示基準)
根拠法の切り分け
- 販売用の食品と添加物の表示基準は、食品表示法(平成25年法律第70号)で定めます(食品衛生法第19条第3項)[18]。
- 公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽・誇大な表示や広告は、食品衛生法第20条で禁止されています [12]。
原則:物質名で表示する
- 現行の通知は、加工助剤とキャリーオーバーを除き、原則として物質名で表示するとしています。施行規則別表第1の指定添加物は、その名称で表示します [19]。
- 添加物は事項欄を設け、重量割合の高い順に表示するのが原則です。欄を設けない場合は、原材料と明確に区分して最後にまとめて表示します。複合原材料に使った添加物も同じ扱いです [20]。
簡略名
- 同種の添加物を併用した場合は、簡略名でまとめられます。例:「ソルビン酸(K,Ca)」「リン酸塩(Na,K)」[21]
- 認められた簡略名以外は使えません。たとえばパラオキシ安息香酸エステル類を「パラベン」と表示することはできません [22]。
用途名の併記が必要な8用途
一括名
- 定義と範囲が決められた用途では、物質名の代わりに一括名で表示できます。例:イーストフード、ガムベース、かんすい [26]
- 一括名に物質名を併記する場合は、一括名の範囲内の物質に限り、重量順に書きます。実際には他の乳化剤も使っているのに「乳化剤(レシチン)」とするなど、単品だけを使ったように見える表示はできません [22]。
- 「調味料(アミノ酸等)」の「等」の部分は、具体的に書いても構いません [27]。
表示免除(加工助剤・キャリーオーバー)
- 加工助剤とは、完成前に除去されるもの、食品に通常含まれる成分に変わってその量を明らかに増やさないもの、または量が少なく食品に影響を及ぼさないものをいいます [28]。
- キャリーオーバーとは、原材料の製造で使われ、その食品の製造では使われず、効果を発揮できる量より少ない量しか含まれないものをいいます [28]。
- 例:カステラ包装時の二酸化炭素によるガス置換は加工助剤 [27]。調味したすし揚げに残る豆腐用凝固剤はキャリーオーバー [27]。
- 一方、釜揚げしらす・しらす干しに過酸化水素が残っている場合は、表示が必要です [29]。
- 表示が免除される場合でも、特定原材料(9品目)に由来する添加物はアレルギー表示が必要です。特定原材料に準ずるもの(20品目)は、可能な限り表示します [28]。
令和7年改正:栄養強化目的の添加物も表示対象に
- 令和7年3月28日公布・施行の改正で、栄養強化目的の添加物に関する表示免除規定が削除されました。経過措置は令和12年3月31日までです [30][31]。
- 消費者庁の通知(令和7年3月28日消食表第289号)も、この改正に合わせて「食品表示基準について」を改めています [32]。
- 強化した栄養成分の量も表示することが望ましいとされています [33]。
食品でも添加物の目的で使えば表示が必要
3. 「無添加」「不使用」表示(令和4年3月30日ガイドライン)
- このガイドラインは、不使用表示が食品表示基準第9条の表示禁止事項に当たるかどうかの判断目安です。不使用表示を一律に禁止するものではありません [34]。
- 注意が必要な表示を10の類型に分けています [34][35]。主な例は次のとおりです。
- 加工助剤やキャリーオーバーで表示が免除されていても、添加物を使っていれば「添加物不使用」とは表示できません [29]。
Approach: 食品衛生法の法令翻訳(平成30年改正時点)、使用基準一覧の英語版、消費者庁の食品表示基準関係資料(通知の別添、Q&A、改正の新旧対照表、不使用表示ガイドライン)を確認しました。使用基準は英語版の一覧で確認しており、告示の日本語原文や食品表示基準(内閣府令)の条文そのものは読んでいません。
ご希望があれば、特定の添加物の使用基準(使える食品と上限値)や、表示に使う簡略名・一括名を続けて調べます。